ガラクタ♂♀狂想曲
「デンちゃーんってば」
ようやく眉毛がピクリと動き、かすかに顔を歪めたデンちゃん。ほんの数分で、ここまで熟睡できるだなんて羨ましい限り。
「電話。携帯さっきから鳴ってるから」
一度動きを止めた携帯だったけれど、またそのあとすぐブーブーと震えている。
「これ2回目だし」
「………誰だよー」
「私に聞いたって知らないよ」
携帯はデンちゃんのほうが近い距離にあったけれど、私も手を伸ばせば届くところにある。デンちゃんの身体を跨ぐように腕を伸ばしそれを手に取った。
「はい」
そしてデンちゃんの顔の近くへ持っていく。
だけど、まだ目を瞑ったままのデンちゃん。
「早く出なよ。私が出ちゃうよ?」
「んー、いいよォ。ショコちゃん出てー」
「はあ?」
そんなことを私がする筈ないと思って言っているのだろうか。それとも本気?
ここで私は初めて携帯へ目を落とし、ディスプレイに表示されている名前を確認。
"山下瑠美"
ヤマシタ ルミ
そこに表示されていたのは、なんとも几帳面にフルネーム。