ガラクタ♂♀狂想曲
手の中の携帯が、突然鳴りはじめる。よくありがちな光景なのに、私はこういうのこれまであまり経験したことがない。なので一瞬戸惑った。そして息を飲む。
だって表示されているのは——
「もしもし」
『あ、もしもし?』
あ、あれ?
『もしもし聞こえますか?』
表示されたのはデンちゃんだったけど、耳元からは聞き覚えのない声。
『もしもし?』
「——ーあ、はい。聞こえてます」
『実はこの携帯を拾ったんですけれど、持ち主さんとお知り合いの方ですか?』
どうやら話を聞いていると、デンちゃんの携帯はコンビニのコピー機の上に置いてあったらしい。しかも不用心にロックも掛かっていなかったそう。履歴だかアドレスだかの中で一番上にあった私がこの大役に見事選ばれたようだ。
「わかりました。わざわざご連絡ありがとうございます」
ということはデンちゃんの携帯に、まだ私の名前が登録されているんだ。
そっか、そっか。
どこかホッとした自分がいる。だけど、履歴なんてとっくに消えてるだろうし、アドレスだとしても私の名前をどんなふうに登録したらトップに表示されるのか。
偽名かな? ま、いいけどさ。
「新宿か…」
おそらく仕事の合間か帰りにでも寄ったのだろうけど、場所は歌舞伎町のコンビニ。
どうしようか。私が取りにいくの?
べつにそれはそれで構わないけれど、よくよく考えれば携帯持っていないデンちゃんへの連絡方法がないわけで。
店に行く、とか?
「それはちょっとね…」