ガラクタ♂♀狂想曲

ちらりと時計に目をやれば、おそらくそろそろ開店時間ってところ。


「———あ」


そうだ。そういえばお財布の中にまだ確かデンちゃんの名刺が——…、ええっと。

べつに私が取りに行かなくても、店へ連絡つけておけばいいんじゃん。冴えてるね、私。


「これだ」


携帯を手に取り、早速番号を押していく。
あ、でも待って。デンちゃんが出たら、


『お電話ありがとうございます。クラブ ゼロです』


デンちゃんが出たらどうしようかと思ったけれど違う人。なんだかとても落ち着いた感じの声の人が応対してくれた。


『もしもし?』

「あのそちらに愁さんって方、いらっしゃいますか?」

『愁ですか? あいにく本日は入店しておりませんが』


胸を撫でおろし、こっそり息を吐き出す。


「——あの、実は携帯を拾いまして。おそらく、その方の携帯だと思いますが」


そして事情を話し終え電話を切る。あちらでなんとか連絡入れてみるとのことなので、これでもう大丈夫だろう。


「はあ…」


ドキドキした。
——あ、いま掛けた電話が私って、あとでデンちゃんにはバレるかな。

取りに行って発信履歴を確かめたらバレちゃうか。——まあだけど、仮に別にバレたからと言って、それがどうこうなることはない。

そして手に持った名刺を眺めながら、ごろんと横になった。

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