ガラクタ♂♀狂想曲

「なに?」


みず、みぞ、なんとかって聞こえたけど。


「あだ名の由来。俺の苗字が"みずた"だから」

「みずた?」

「ショコちゃん小学校のとき、"すいでん"って社会の授業でたくさん出てこなかった?」

「田んぼの?」

「そ。それそれ。俺のデンはそれからで、これは地元のあだ名」

「…水田?」

「そ、水田」


そしてニッと口を横に結んだデンちゃんのデンは水田のデン。
なんかこれ、早口言葉みたい。


「昔は結構これ嫌でさ。ほらなんか、いじめられっ子的なテイスト含んでるじゃん」

「あはは」


思わず笑ってしまう。


「だけどそのまま定着して。なのにこっち来たらさー、そんなの誰も呼ばないし」

「あー、」


気のない返事をするも、なんだかそれちょっと嬉しいかも。ぼんやりすると緩んでしまいそうになる頬を隠すかのようにビールへ口をつける。


「——で、瑠美がさ」


ほら来た。ほんの少し咽そうになったけれど、これは想定内のことだったので耐えることができた。


「ショコちゃんこのあいだ、電話で瑠美と話したでしょ?」


このあいだって言うか、ずいぶん前のような気がしないでもないけど——。だけど、それが何。

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