ガラクタ♂♀狂想曲

「ねえ、ほら、元気出してよ若者!」

「なんだよそれ」

「そんなんじゃ、いくらなんでもルミちゃんに嫌われるよ?」

「だよねえええ。ありがとショコちゃん」


そう言って手馴れた感じですっと手を伸ばし、そっと私を抱き締めるデンちゃん。それから私の顔色を伺い、おねだりするようなどこか愛くるしい顔をひょこっと見せる。


「今日はエッチなしだからね」


1ヶ月近く一緒にいるのだから、いくら私でもさすがにこの一連の流れは、もうわかっている。だからデンちゃんが次へ進む言葉を言うより先に、私がそれを止めた。


「わかった」


すると、思ったより案外あっさりと引き下がったデンちゃん。ちょっと珍しいかも。


「だけどショコちゃん抱っこすると落ち着くから、しばらくこのまま」

「……」


あー、なるほど。今日はこのパターン、か。
しかしルミちゃん一筋なはずのデンちゃんなのに、どこでこういうの覚えてきたんだろうと思う。


「わかったよ。だけど少しだけだからね」


結局受け入れてしまう私。
そしてまるで慰めるかのようによしよしとデンちゃんの頭をポンポンと数回優しく撫でる。


「ありがとショコちゃん」


猫なで声の甘ったるい声。普段はルミちゃん好きな大学生だけど、やっぱり所詮はただのホストということなのか。

こんな顔してそんなことを言えば、さぞかし客がつくだろうと思う。

だけど私はこれまで一度も店へ行ったことがないのだし、来てほしいといわれたこともない。なんだかよくわからない関係——。

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