例えば危ない橋だったとして

瞼の隙間から、白い天井が見える。
微睡みから覚醒し始め、ゆっくりと瞼を上げた。
意識がはっきりして来ても、自分がどこに居るのかわからない。

どういうわけか、わたしはベッドに寝かされて、布団を掛けられている。
わたしは意識を失くす前の出来事を懸命に辿った。
確か、いつも通り仕事をしていたはず。
あまり気分が優れないので、横になったまま周囲を見渡すと、この光景には既視感がある。
そうだ、まるで学校の保健室のような……。
そこまで考えて、此処が会社の医務室であることが推察出来た。
ということは……わたしまさか……倒れた?

嘘でしょ……そのまま片手で頭を抱える。
仕事中になんという失態……迷惑極まりない。

誰かに状況を説明して欲しかったが、医務室には誰もおらず、静まり返っており、確認の取りようがない。
手元の腕時計に目を向けると、12時43分。休憩時間だ。

おもむろにドアが開いて、人が顔を覗かせた。
わたしはその人物の顔を見るや否や、ぎくりとした。

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