例えば危ない橋だったとして
その日は、朝から体調が良くなかった。
何日も、夜はろくに眠れず、昼休みに仮眠を取りやり過ごしているような状況だ、無理もない。
11時を過ぎた。もうすぐ昼休憩だから、それまで何とか持ち堪えたい。
きっと仮眠を取れば、気持ち悪くてふらつく感じも取れるはずだ。
依頼書を画面で確認しながら、いつものようにキーボードを叩いた。
しかし時間が経つにつれ、どんどん気分が悪くなってくる。
頭が冷える感覚。冷や汗をかいている。
何度も大きく息を吐き出し、その回数も増えて来た。
あくびが止まらない。
ファイリングしてある書類を探そうと席を立ち上がると、たまたま席に戻って来た黒澤くんと目が合ってしまった。
「……榊? 何か顔色……」
あれ? 黒澤くんわたしに話し掛けてる……?
朦朧とした意識の中そう過ぎった次の瞬間、目の前が真っ暗になり、景色が途絶えた。
「榊!」
微かに黒澤くんの叫び声が聞こえた気がした。