例えば危ない橋だったとして

洒落た串揚げ屋に入り、じゃがいも串を頬張っていると、グラスを空けた彼が頬杖を付いてわたしを睨み、唐突に言い放った。

「……なんかさぁ……今週俺に冷たくなかった?」
「はっ!?」

「やっぱアレ? 休み明けの時の……」
「あれはもう怒ってないよ?」

「そう……」

皐が何やら不敵な笑みを浮かべた。

あれ? こんな人だったっけ??
わたしは違和感を持ち、これまでの皐の言動を思い返した。
皐ってもっと、スマートな振る舞いで……これじゃまるで……拗ねてるみたい。
……みたいじゃなくて、そうなのか!
悟ると、急に目の前の人が可愛らしく映った。

皐は『好きな人と付き合うのは初めて』と言った。
これが彼の素顔だとしたら……こんな彼を知っているのは、もしかしてわたしだけ?
思い至ると、心臓が高鳴った。

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