好きが涙に変わって溢れてく。
明菜はそう言いながらゆっくりと私に近付くと、一瞬で笑みを解いて私の胸倉をグッと掴んだ。
「だからムカつくんだよ。ムカつくから苦しめたくなるんだよ、どんな手を使ってもね」
その冷酷な眼差しは、ゾクリと背筋が凍り付くようだ。
明菜の本性は、ただ裏表があるだけじゃないと、確信できた瞬間でもあった。
けれどそれは一瞬で消えて、また明菜はいつもの笑顔に戻る。
「ま、魁くんのことは諦めるしかないけどね。だけどそれだけじゃまだ気が済まないし……」
明菜は扉の方へ向かうと、去り際に振り返って憎たらしいくらいの満面の笑みを見せた。
「これからどうなるか楽しみだねーっ」
そう言い残し、その場を去って行く。
まだ……背中がゾクゾクする。
体中から力が抜けてしまうのではないかと思うくらい、足がガクガクと震えていた。
「何なのよ……っ」
これからどうなるかなんて、私には知ったことじゃない。
だけどあの言葉……明菜はまた何かを企んでいるに違いない。
それに私はまた耐えないとダメって訳か。
もう関わらないって決めたのにな。
そんなの無理か。
グッと拳を握りしめ、私は教室へ向かった。
これから起こる不安と必死に戦いながら。
それを実感するのは、あと数時間先の事だった――