好きが涙に変わって溢れてく。

「ガキだよな、俺。これじゃあ桜綾ちゃんの弱みにつけ込んだようなもんだろ」


「そんな……」


「もう俺に気遣わなくていい。無理して笑うことも、罪悪感とか何も感じる必要はないから。自分の本当の気持ち、大切にして?」



本当の気持ち。


私は――……





「無理して笑ってた?私」


「うん、わかりやすかったよ。けどそのおかげで俺も気付けたんだ」



尊琉君にもわかってしまうくらい、そんなに私無理して笑ってたんだ……




「俺が好きになった桜綾ちゃんの笑顔は、あいつを想ってる時の桜綾ちゃんなんだ。
……だから俺が好きなのは、あいつを好きな桜綾ちゃんなんだって」



俺じゃだめだ、と付け加えて尊琉君はフッと小さく笑った。




「だって俺が好きになったキッカケも、あいつといる時だったから。
初めて惹かれた桜綾ちゃんの笑顔は、あいつに向けてる時の笑顔だから」


「……っ」




その瞬間、一気に脳裏に蘇るいろんな出来事。


尊琉君ではなく、魁との思い出だ。




「俺じゃない。桜綾ちゃんにはあいつじゃなきゃダメなんだよ。ずっと長い間片想いしてきたんだろ?そんな簡単に忘れられるモンじゃねぇだろ。その気持ち、俺にはすごいわかるから」



ずっと片想いだった。


ずっと大好きだった。


だから魁の気持ちを聞いた時、本当は嬉しかったんだ。






『やっと気付いたんだ。俺、本当は誰が好きか』


『お前が好きだ』





私、本当は後悔してたんだ。


どうしてもっと早く伝えてなかったんだろうって。


そしたら私の隣には魁がいたかもしれないのにって……



尊琉君と付き合ったことに後悔はしてないけど、私は今までの私自身の行動に後悔してたんだ。

ずっと。



私、本当は――……





「――ほら、泣くぐらい好きだろ?」


「っ‼」


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