少年と少女 ~出会い~
今日はここで夜を明かそうと、窓ガラスは爆風で全て砕け、中の資材も全て盗られたビルの一つに入った。

八階建てのそのビルの屋上まで上り遠くを見回すと、黄昏の中、うっすらと見える境界線の様に横切る川面のもっと先に富裕層が暮らす高層ビルが立ち並んでいるのが見えた。

川の向こうはキラキラと輝いて、これほど遠く離れていても眩しく感じる。

どう足掻いてもあちら側へは行けない。

同じ国なのに、まるで世界が違う。

お前はそちら側の人間なんだよと言われているようで、この景色は嫌いだ。

私は一生こちら側の世界で生きていくと分かっていても、他の誰か、他の物に言われるとイライラする…

つまり……


そう言うことだ。


分かってるつもりでいるだけ。

本当は足掻いてやりたい…


「おい、女がいるぞ。」

ここにいるのは私だけだと思ってたから、後ろから声がして飛び上がるほど驚いた。

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