舞龍
しばらく揺月に身を預けていたけど、廊下にあった時計を見るとHR(ホームルーム)が始まる2分前ということに気がついた。

揺月の背中をトントンとたたいて


「もうHR始まっちゃうよ?」


というと、揺月は王子様スマイルで


「嬉しくて、時間忘れちゃった。」


と笑いかけてきて、もうあたし撃沈。
揺月は、肩を落とすあたしを不思議に思いながらも先に教室に入っていった。

するとなかからギャーギャーと騒ぐ声が聞こえてきた。


「なぁ、朝霧せんせっ、今日転校生くんだろ?」
「男か?それとも女の子ぉ?」
「おま、女の子は女の子でもブスは勘弁だわ笑」
「ゆってやんなよぉ笑」


好き勝手言いやがって。
こういうやつらが1番イラつく。

すると揺月が


「もうHRは始まっていますよ?チャイム聞こえませんでした?それともあなたがたの耳は節穴かなにかですか?(黒笑)」


と現役時代を彷彿(ほうふつ)とさせる殺気を放ちながら静かに言った。


「「「「………………」」」」


「さて、うるさいガキどもも静かになったところで転校生を紹介します。」


さっき揺月の殺気を目の当たりにした生徒がこんな状況で盛り上がれるわけもなく、シーンと静まり返る教室に自らの足を踏み入れた。



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