「僕は、死にたい」
 



「どうして?」


その言葉ばかりが頭をよぎる。


よくなっていたはずだった。


そして、よくなったからこそ、「また悪くなる」のが怖かった彼。


何も出来なかった。



病院から出る時、彼は声をかけてくれたのに。


全然気がつかなかった。


もしも、あの時…


そう思わずにいられない。


時間を戻せたら、と思う。


でも、時間が戻ったとして、わたしに何が出来るだろうか?



人は、無力だ。


だからこそ信じたい。


支えてくれる手があるって。


信じて欲しい。


支えたい手がある事を。




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