とあるレンジャーの休日

 薫子に縫合の準備をさせ、紫乃は次の患者が来ていないかを確認しに、廊下へ出た。
 そこにいたのは、冬用の制服を着た色白な優男――塚本である。

「げっ、また来た」

 紫乃が反射的に嫌そうな顔をすると、塚本は頬をプクッと膨らませて文句を言った。

「紫乃ちゃん……いつも思うけど、俺の扱いだけ、ひどくない?」

「何の用?」

「いや、だからさ……」

 塚本は呆れたようにため息を吐いてから、訊ねた。

「彼、どうしたかなと思って。少しは眠れるようになった?」

 そう訊かれ、紫乃は歩の寂しげな表情を思い出し、また眉根を寄せる。
 塚本は意外そうな顔をして「あれ?」と首を捻った。







 縫合が終わり、紫乃は怪我をした彼に「縫ったからって無茶はしないように」と口を酸っぱくして言い聞かせた。

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