とあるレンジャーの休日
(全然、気にしてない)
紫乃は再びため息を吐き、口を開く。
「あのね、前にも言ったけど。私は診療もあるし、おじいちゃんのことも心配なの。だから、実家を離れる訳にはいかない。そうすると、二人で会う時間もあんまり取れそうにないし。だから……」
歩とは付き合えない――そう言おうとしたら、目の前にいきなり影が落ちてきて、口を塞がれた。
それも手じゃなく、唇で。
「んっ!?」
紫乃は驚き、咄嗟に彼を突き放そうとして腕を伸ばす。
でも歩にその手を掴まれ、強い力で抱き込まれた。
(こんな往来で何を――!)
唇が離れた途端、紫乃は文句を言おうとして目を開け、歩の強い視線にぶつかった。
彼は、怖い顔をしてこちらを睨んでいる。