とあるレンジャーの休日

「そうです。たまに整腸剤だけもらいに来て、長話をされる方で……」

 最後の方は小声でこっそり教えてくれる。

「後でいいから、カルテ中に入れといて」

 紫乃はそう言い置いて、待合室を振り返った。

「皆さん、お騒がせしました」

 すると近所の顔見知りのおじさんが声を上げる。

「いいぞ、紫乃ちゃん!」

「あの人いつもうるさいのよ。診察入ると長いし」

 常連のおばさんもそう言って頷く。

 紫乃は苦笑いを浮かべ、「じゃあ診察再開しますね」と返して診察室に戻った。

 中で薫子がニコニコしながら待っていて「さすが、紫乃先生」と言う。

 以前、大学病院でも暴力を振るおうとした患者を捻り上げたことがあり、薫子はそれを知っていた。

< 279 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop