とあるレンジャーの休日

 紫乃は無視されて、「もう!」と不満げな顔をしながらも、歩の腕を引っ張って後ろに下がった。

 二人の後を、宗春も追いかけようとして、吾郎に引き止められる。

「お前はこっちだ」

「でも、先生っ……」

 道場を出て行く紫乃と歩の後ろ姿を、宗春は悔しげな顔をしながら見送っていた。





 廊下に出て、二人は通路を、今度は自宅方向に歩いていく。

 おとなしくついて来る歩を振り返り、紫乃は言った。

「おじいちゃんも父さんも、歩を気に入ったみたいね」

「そう?」

「うん。二人とも何も言わないから。不満がある時はうるさいったらないよ」

 誰もいない居間を通り抜けて玄関先に出る。
 紫乃は廊下にある二枚の扉を指して言った。

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