シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
航がバンド志向でないのは残念だけれど、懸命に創作に取り組んでいるようだったから、わたしはどうにか助言してあげたくなった。
「最初は真似でいいんじゃない? 偉大な作曲家や詩人に憧れて、自分もこういうものを作りたいって願うところから始めても」
「いや、真似どころか、単なる劣化コピーだから。許せねー。自分で自分の才能のなさに腹が立つ」
こうして見ると、中二の時点ではわたしの方が航より背が高いくらいだ。
小柄で細くて、色が黒くて、なんだか野猿みたいな航。
そういえば同じクラスだったんだ。一組から四組まである中で、亜依と遥人も含めて全員が同じクラスになったのは、中二の一年間だけだったはず。
「航が作った曲、聞いてみたいな」
「マジで?」
「うん。どんな曲なのか興味ある」
「マジ? マジで言ってる?」
キーボードを抱え、馬鹿みたいに繰り返す航の目がきらきらして、あれ、もしかしてわたし、航のスイッチ入れちゃった? と思う。
思春期、同級生のひとことをきっかけに、後のヒットメーカーが誕生したりして。
実際には、トライクロマティックの楽曲は、主に遥人と亜依が作っている。
航はボーカリストとして歌いやすさや歌詞の伝わり方を意見し、キーボードパートのアレンジに関して口をはさむ程度で、「詞なんて恥ずかしくて書けねーよ」とうそぶくのが常だ。
もしここで、航がコンポーザーとしての才能を開花させたら、トライクロマティックの音楽にも幅が出るに違いない。
「最初は真似でいいんじゃない? 偉大な作曲家や詩人に憧れて、自分もこういうものを作りたいって願うところから始めても」
「いや、真似どころか、単なる劣化コピーだから。許せねー。自分で自分の才能のなさに腹が立つ」
こうして見ると、中二の時点ではわたしの方が航より背が高いくらいだ。
小柄で細くて、色が黒くて、なんだか野猿みたいな航。
そういえば同じクラスだったんだ。一組から四組まである中で、亜依と遥人も含めて全員が同じクラスになったのは、中二の一年間だけだったはず。
「航が作った曲、聞いてみたいな」
「マジで?」
「うん。どんな曲なのか興味ある」
「マジ? マジで言ってる?」
キーボードを抱え、馬鹿みたいに繰り返す航の目がきらきらして、あれ、もしかしてわたし、航のスイッチ入れちゃった? と思う。
思春期、同級生のひとことをきっかけに、後のヒットメーカーが誕生したりして。
実際には、トライクロマティックの楽曲は、主に遥人と亜依が作っている。
航はボーカリストとして歌いやすさや歌詞の伝わり方を意見し、キーボードパートのアレンジに関して口をはさむ程度で、「詞なんて恥ずかしくて書けねーよ」とうそぶくのが常だ。
もしここで、航がコンポーザーとしての才能を開花させたら、トライクロマティックの音楽にも幅が出るに違いない。