シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
高校の校舎に入る。
一階に職員室があって、蛍光灯の灯りが内窓から廊下に漏れている。
「おはようございます。衛藤先生、いらっしゃいますか」
机に向かって何か作業をしていた先生が、頭を上げた。
静かに立ち上がり、こっちに来る。
ウェーブのかかった茶色い髪をひとつに結わき、裾の長いシャツを着崩している。アイシャドウは紫系のグラデーションで、口紅の色は抑えめなベージュ色。けだるげな美人は、学校の先生っぽくはない。
当時、職員室内で浮いているという噂があったけれど、本当だったのかも。
新任でこの学校に来たはずだから、年はせいぜい二十代中盤。わたしより少し上だ。
とはいえ今のわたしは、十四歳の小娘の姿なので、失礼があってはいけない。
さすがに航と向き合うのとは違い、緊張する。目と目が合う前に、わたしは腰を折った。
「遅くなってすみませんでした」
「矢淵さん、具合はもういいの?」
「はい、大丈夫です」
見上げる形で先生の微笑みを浴びる。
「よかった。朝の点呼のときにいなかったから、お休みかと思った。夜はわたしがお弁当を手配するから、個数を増やしておくわね」
「あ、はい。お願いします」
一階に職員室があって、蛍光灯の灯りが内窓から廊下に漏れている。
「おはようございます。衛藤先生、いらっしゃいますか」
机に向かって何か作業をしていた先生が、頭を上げた。
静かに立ち上がり、こっちに来る。
ウェーブのかかった茶色い髪をひとつに結わき、裾の長いシャツを着崩している。アイシャドウは紫系のグラデーションで、口紅の色は抑えめなベージュ色。けだるげな美人は、学校の先生っぽくはない。
当時、職員室内で浮いているという噂があったけれど、本当だったのかも。
新任でこの学校に来たはずだから、年はせいぜい二十代中盤。わたしより少し上だ。
とはいえ今のわたしは、十四歳の小娘の姿なので、失礼があってはいけない。
さすがに航と向き合うのとは違い、緊張する。目と目が合う前に、わたしは腰を折った。
「遅くなってすみませんでした」
「矢淵さん、具合はもういいの?」
「はい、大丈夫です」
見上げる形で先生の微笑みを浴びる。
「よかった。朝の点呼のときにいなかったから、お休みかと思った。夜はわたしがお弁当を手配するから、個数を増やしておくわね」
「あ、はい。お願いします」