シークレット・サマー ~この世界に君がいるから~
「亜依はすごいんだよ。握力が五十キロ近くあるの。持久力もあるし、ドラマーの資質充分だよね」

 ちら、と遥人がわたしを見る。興味を持ってくれたらしい。
 わたしは続けた。

「女子では断トツ一番。男子の平均も軽々超えてる。わたしは女子の平均以下だから、二十キロもいかないもん」
「お前は重いもの持てなさそうだよな」
「なんかね、今までのうちの学校の記録を塗り替えてるらしいの」
「お前が?」
「違う。亜依が」

 はは、と遥人が笑った。
 こんな風に自然な笑顔を見せてくれるひとだったんだ。こんなに喋るひとだったんだ。知らなかった。
 わたしが知っている遥人とは別人みたいだけれど、それは近づくきっかけが違ったからだ。
 いつも亜依にくっついていたわたしは、亜依を介してしか、航や遥人と話す機会がなかった。
 一対一で話せば、新しい発見がある。
 合宿に来てよかった、と初めて思った。

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