ヘタレな貴方と強がりな私


拓也と別れ、アパートへ向かった


「またな、奈津」


奈津の頭を撫で
また連絡する、と言って別れた


奈津はただ黙って手を振っていただけ
最後まで「おとうさん」と呼ばなかった
望んでいなかったことだが
もしかしたら、という期待もあった


アパートに帰るまで
奈津は私の手を握ったまま
黙って歩いていた


ちゃんと話さなきゃ
ちゃんと奈津の意見を聞かなきゃ


アパートに戻り
夕食の用意を始める
奈津はテーブルに向かって
何かをしていたが
私に背を向けていたため
何をしているのかわからない


『奈津?何してるの?』


そう聞いても
なにもしてない、と返ってくる

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