ヘタレな貴方と強がりな私


『お母さん、ありがとうね』


それだけ伝えたかった
母の手は一瞬止まったが
特に何も言わず作業を続けていた

母は昔からそうだった
不器用な人だ
実家を出てからもそうだった
母からではなく
姉から「お母さんからよ」と
荷物が届いたりしたものだ


『次、帰るときは連絡するから』


それだけ伝え、私は工場へと戻った
戻ると父は奈津と楽しそうに話していた


『あれ?小鳥遊くんは?』


「おじさんと、そとにいったよ」


奈津の言葉に工場を見渡す
お弟子さんの水戸さんは作業をしている
いないのは…裕介くんだ

何故、小鳥遊くんと裕介くんが?
心は穏やかではない
直ぐに探しに行こうとしたが
父に止められてしまった

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