ヘタレな貴方と強がりな私


母から実家に顔を出すように言われている
だから行かなくちゃならない
昨日まで、そう思っていた
小鳥遊くんから通帳を貰うまでは…



『お母さん』


工場前で草木の選別作業をしている母
私の姿をチラッと見て
また作業をし始める


「お父さんに顔見せたのかい?」


『うん。小鳥遊くんと奈津は工場でお父さんの仕事を観ている』


そうかい、と手を休まず働く母
見慣れている姿
懐かしく思えて
よく座っていた工場前にあるベンチに座った

このベンチは
父が私と姉のために
作ってくれたものだ

ここに座って
いつも両親の仕事を観ていた
昔と変わらない…だが
母が少しばかり小さく見えた

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