ヘタレな貴方と強がりな私


フロアには100人近くの人が
私と同じように働いている
その殆どが派遣社員
だから更新せず辞めていく人もいる
いちいち顔なんて覚えてられない

歓迎会もなければ送別会もない
助かる、といい気持ちもあるが
少しだけ寂しくも感じる


ツン、ツン…と私の腕に何かが触れた
視線を向けると
隣の席の大橋莉子がメモ紙を見せてきた


【例のオヤジに捕まった】


苦笑いしかない
たまにいるんだ
ユーザーだと上から目線
そして、なんの用事か全くわからない
初めは、確か…
「カード払いにする勇気がない」だった

年配の方には良くあることだ
だから説明をするものの
それは毎週のように
疑問に思ったことを問い合わせしてくる


< 6 / 397 >

この作品をシェア

pagetop