ヘタレな貴方と強がりな私


お客様は宝…なんて今時古臭い
けど機嫌を損ねないよう
根気良く説明するしかない

お客様が納得するまで…だ



莉子…かわいそうに、と思いながら
耳に届いた着信音に画面をクリックする



かわいそうに、と思ったが
明日は我が身だ
耳に集中しながら
右手でペンを持ちメモ紙へ走らせた


【こっちは鼻息荒い】


興奮して電話をしているんだろう
鼻息が荒くて話している内容が
全く聞こえてこない
メモ紙を莉子の机へと忍ばせた


莉子はひょっこり顔を出し
がんばろう、と口パクで伝えてきた
うん、がんばろう、と返し
電話の相手へと集中した


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