空色プレリュード
「本当に大丈夫だから!」

私は結ちゃんに心配かけないように笑顔を取り繕ったのだった。




ドキドキ体育祭


私は樹生くんの言葉を聞いて笹川くんから距離をとることにした。

なんで樹生くんがあんなこと言ったのか正直分からなかった。でも、笹川くんは何か秘密を隠しているようにも感じていた。それが樹生くんの言っていたことと関係があるのかどうか分からないけど‥‥。


ここ数日はいつも昼休みに行っていた音楽室に行くのをやめて屋上に行くことにした。

屋上も思っていた以上に静かだった。

だから余計に笹川くんのことを考えてしまう。


私と笹川くんは全然違うんだよ。だから離れた方がいいに決まってるんだ。私はクラスの中でも地味でピアノしかひけないどうしょうもない奴だけど笹川くんは‥‥スポーツ万能でクラスの誰からも好かれて‥。

「‥‥っ‥。」

なぜか泣いていた。涙が止まらない。

笹川くんのことを考えると涙が止まらなくなる。

「なんで‥なんでなの?」

なんでこんなにも胸が苦しくなるんだろう。

楽しかった‥。誰もいない音楽室で‥笹川くんとしゃべって‥。笹川くんのおかげで結ちゃんていういい友達ができた。

笹川くんがいたから‥。

「何、泣いてるの?」

「!?」

振り向くとそこには笹川くんがいた。

笹川くんは笑ってた。

「俺、けっこう橋村のこと探したんだよ。最近、音楽室に行ってないみたいだし。行かなかったのはその涙が原因?」

笹川くんが私の涙を親指ですくった。

私の顔が熱くなったのがわかった。

「な‥なんでもない‥!」

私は屋上の出口に向かおうとした。‥が

「えっ!?」

笹川くんが私の腕をつかんだのだ。

さっきとは違って真剣な顔をしていた。

「何もないなら、涙なんて出ないだろう‥。誰に泣かされた?‥言ってみろ。」

笹川くんが私を掴む手に力を入れた。

「な‥なんでもない!!それより手、離して!私にとって手は大事なの!!」

すると慌てたように笹川くんは離した。

「あっ!悪い!俺、ついやってしまって‥。ごめん!」

その姿にまた涙が滲む。

私なんかが笹川くんの側にいてはダメだ。

「じゃあ私、行くね。バイバイ。」

今度こそ私は出口に向かった。

笹川くんも何も言わなかった。

体育祭を間近に控えたある日の出来事だった。







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