泣かないで、楓
「見たい?」

 楓のイタズラっぽい甘い声に、僕は心臓が飛び出そうになった。

「はぁ!? な、何言ってんだか……」

 僕は心臓のドキドキを悟られまいと、なるべく冷静を装った。

「顔にどうしたいか、答えが書いてあるんちゃう?」

 が、楓には見透かされている様だ。

「今日の下着は、ピンクやよ。自分の色と合わせたんや」

 自分の色、とは戦隊ヒーローの“ピンク”の事である。

「へ、へぇ。そうなんだ」

 僕はゴロゴロと身体を回転させ、テントの端まで移動した。

「つまらんなぁ。恭平、こっち向いてみ?」

 後ろから楓が、僕の肩をガシガシと揺さぶる。どうしてこんなに、しつこいんだ?
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