危険地帯
さっきまで、痛いくらい太陽の光を浴びていたのに、一気に極寒の地にやってきたみたいに、寒い。
温もりが、吸い取られていくようだ。
「ねぇ、どこ行ってたの~?」
「繁華街の、か、カフェに……」
「そっかぁ」
律の太陽のようなオレンジ色の髪が、目をチカチカさせる。
この場所には似合わない、鮮やかな色。
「あ、そうだ」
「?」
「今日の夜はちょっと忙しくなるかもしれないから~」
奥のソファがあるところに行こうとしていた律が振り返ってそう言うと、特徴的な猫目を細めた。
私には、確かに聞こえた。
「気をつけてね」、と。
私のことを心配するわけではなく、何かが起こることを、さらなる悪夢が待ち構えてることを知らせる、その声が。