危険地帯
三人は躊躇なく、出入り口を過ぎ、廃ビルから出た。
私も急いで、三人のあとを追う。
「お前は邪魔すんじゃねぇぞ」
三人に追いついた私に、深月が小声で囁くと、不敵な笑みをこぼした。
ふと横を見ると、いつも廃ビルの前で見張り役をしている二人の男が倒れていた。
この状況の危険さを理解した私の心臓が、ドクン、と音を立てて軋む。
「久し振りだな」
外に出た三人に声をかけたのは、紫の髪をした人。
どうやらこの不良集団をまとめている人らしい。
「どうも、負け犬の龍司【リュウジ】センパイ」
相良深月は紫の髪の人を“龍司”と呼び、見下す。
センパイ……?
「先代の総長と幹部が勢ぞろいで、しかも下っ端まで引き連れて、どうしたんですか?」
司の言葉で、疑問に思っていたことがわかった。
センパイって呼んだのは、元黒龍の人だからだったんだ。
「僕達に喧嘩を売りに来たの~?」
「ハッ、どうせ前からこのことを知ってたんだろ?」
「せいか~い」
律の問いかけに、龍司という人がそう言うと、律はゆっくりと拍手をした。
どうして現黒龍と元黒龍が喧嘩するの……!?