危険地帯



戸惑っている私に気づいた龍司という人が、私を指差して「誰だ?」と深月に聞いた。



「あれは、俺達の奴隷」


「ふーん」



うっ、また奴隷って言われた……。


実際、奴隷のような仕事はしてないんだけどなぁ。



「で?神雷に負けたあんた達が、俺達に八つ当たりっすか?」


「俺達はまだ負けてねぇよ。戦略的撤退をしただけだ」



深月が龍司という人に尋ねると、龍司という人は悔しそうに顔を歪めた。



「逃げたってこと~?うわ、ダサっ」



隠れてプッと小さく笑った律。




「お前らが勝手に俺達を黒龍から追い出して……!」


「俺はただ黒龍のルールに従っただけっすよ?」




黒龍の掟――“敗者は捨てる”。



たったひとつのルールを、受け継いでいるんだ。


いつも自由だ何だと言っているけど、そのルールだけはしっかりと守ってるんだ……。



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