危険地帯
槍のような雨が降る“あの日”の夜も、龍司センパイについて行った。
『お前らか、噂を流してたのは』
『ち、違ぇよ』
『嘘つけ』
『嘘じゃねぇ!誰がそんなこと……っ』
『――忍者、さ』
忍者に嘘の情報を教えられた龍司センパイは、弱小暴走族の奴らを噂を流した犯人だと思い込んでいた。
本当は忍者が噂を流した犯人だということを、最近になって知ったんだけど。
その日の喧嘩は、いつもとは違っていた。
残酷なほど、一方的すぎる暴力。
相手が気絶しても、それは続いた。
それくらい、怒りが募っていたのだろう。
俺と司は、何もしなかった。
何もできず、ただ呆然とその喧嘩を見ていた。
ドロドロとした吐き気が、した。