危険地帯
その苦しさは、俺の身体を侵食していき、壊したものを全て繋いでいた。
『このままじゃ、ダメだ』
こんなんじゃ、俺は、いつか良心に食い殺される。
――この苦しさを、完全に壊せなかった不必要なものを、隠してしまえ。
そんなバカみたいな考えが、唐突に浮かんだ。
最初からなかったものとして、扱ってしまおう。
胸の内側に、秘めてしまおう。
自分自身さえも騙してしまおう。
そうすれば、きっと。
『大丈夫だ』
理由なんて、知らない。
でも、確かに大丈夫だと思った。
これで俺は、正義を否定して、強さを手に入れられる。
黒龍の一員として、やっていける。
そう、確信した。