危険地帯






――次の日の午後9時。


病院側から、連絡が来た。


羽留が目を覚ました、というものだった。



「会いに行ってくる」


「じゃあ、僕も……」


「律、やめとけ。辛くなるだけだぞ」



俺に付き添おうとした律を、司が引き止めた。


司だって、あいつに会いてぇはずなのに。


こういう時、司は冷静だと思わされる。



「俺一人で、行ってくる」



念を押すように、もう一度言った。


律は何か言いたげだったが、黙ってソファに座った。



俺の罰なのだから、俺一人でいい。


ひとつの終わりに立ち会うのは、俺だけで。



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