危険地帯
誰かに心臓を鷲掴みされている感覚になる。
……なにを躊躇う必要があるんだ。
『ひとつ、条件を出してやる』
俺らと羽留が出会った日。
俺が、そう言ったんだ。
『条件……?』
『あぁ。俺達が、お前が秘密をバラさねぇ人間だってわかったら、解放してやるよ』
本当はきっと、わかっていた。
羽留が、どんな奴かを。
条件は、とっくに満たしていたんだ。
『誓えよ』
俺が始まりと終わりを、作った。
だから俺が羽留に、今までの日々が終わることを伝えるんだ。
『その条件を満たすまで、俺達から決して逃げないことを』
最初から、その誓いだけが俺達と羽留を繋ぐ、唯一の関係だった。
まるで、糸みたいだ。
関係という名のたった一本の糸。