危険地帯




それから、悪夢のような日々が続いた。



私に対して激しい恨みを抱くお母さんと、何とかしてお母さんの怒りを鎮めようとするお父さん。


二人は、顔を合わせる度、喧嘩をしていた。


お母さんは、バイオリンを弾いていた手を、さらに傷つけるように、よく物にあたっていた。


傷が増えていくお母さんの手を見て、お父さんの顔が歪む。



全ては私のせい。


私が、わがままを言わなければ、こんなことにはならず、今も幸せが続いていたかもしれない。


時間を巻き戻して欲しかった。


でも、そんなことは絶対にできない。



……こんなの嫌だよ。


私は家の隅っこで、うずくまって泣いていた。


お母さんもお父さんも、そんな私をよそに、声を荒げて言い争う。



『ごめんなさい……っ』



ねぇ、誰か教えて。


何度謝れば、前のようなどこにでもある平和な日常が戻ってくる?



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