危険地帯
もう、お母さんがこもり唄代わりに弾いてくれたバイオリンの音色を、聴くことはない。
お母さんが笑顔を向けて、『羽留、大好き』と言ってくれることもない。
『私の人生が潰されたのよ!?それでも黙ってろって言うの!?』
『バイオリンはもう弾けない。けど、人生が終わったわけじゃないだろう?』
『そんなの、終わったも同然よ!』
……ごめんなさい。
私、もうわがまま言わない。
しっかりするから。
言うこと聞くから。
いい子になるから。
お母さんが私を憎んだままでいい。
私も、お母さんの傷を背負うよ。
だから、大切なものを、これ以上壊さないで。
私の思いは、誰にも届かず。
悲しみで染まった運命は、徐々に、“家族”も愛も笑顔も崩壊させていった。