危険地帯
お母さんは家を出て行く前に、一度振り返った。
考え直してくれたんだ……!
私は、お母さんに手を伸ばす。
けれど。
『――あんたなんて、』
お母さんの冷たい視線が、私を貫いた。
心臓がちぎれてしまいそうだった。
『産まなければよかった』
それは、私の存在を否定する言葉で。
それは、私のことが嫌いと言っている言葉で。
それは、言われたくなかった言葉。
溢れる涙で、視界がぼやける。
何も掴めなかった小さな手のひらを、ゆっくりと下ろした。