危険地帯
眉をひそめた深月は、「なんで?」と私に尋ねてきた。
なんでって……。
うまい言い訳が浮かばなくて、黙り込む。
深月の冷たい瞳が、私を見つめる。
私がここから出て行って警察に行くかもしれないとでも思ってるのだろうか。
そんなこと、怖くてできるはずないのに。
「お前、さっき誓ったこと、もう忘れてんのかよ」
……忘れるわけない。
『その条件を満たすまで、俺達から決して逃げないことを』
しっかりと脳裏に焼き付いたあの誓いを、忘れたくても、忘れられない。
「あ、もしかして、家族が心配してるから、とか?」
「っ、」
嘘でも、頷きたかった。
でも、どうしても頷けないのは、お父さんが、新しい家族が、私を心配してくれているか、わからなかったから。