危険地帯
その日の夜。
私は暗い部屋で一人、残業で遅くなると連絡をくれたお父さんの帰りを待っていた。
部屋の片隅で、膝を抱える。
『……独りは嫌だ』
枯れてしまった涙。
抱えきれないくらいの苦しみ。
感じる孤独に、押しつぶされそうだった。
『ずっと』
震える肩を抱きしめながら、こんな現実を忘れるように目を閉じた。
夢の世界でなら、お母さんに会える気がして。
優しいお母さんが、私の名前を宝物みたいに呼んでくれる気がして。
でも、瞼の裏に広がるのは暗闇ばかり。
瞼を持ち上げても、それは変わらなかった。