偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「男が好きなんだとしたら、お前にプロポーズするわけないだろ」
「だ、だから…私との結婚は誤魔化すためのフェイクかと…」
苦虫をかみつぶしたような顔され、私はごめんなさいと肩をすぼめた。
「つーか、さっきのアレは何だ?」
「さっきのアレ……って?」
「兼古が言ってただろ。お前にプロポーズしたとかしないとか、って」
「あ、ああ……あれは……」
私が歩みを止めると、柳原さんも自動的に足が止まって。
半身だけ振り返って私と視線を合わせた。
「あれは、兼古くんの冗談?みたいなものかな。
私が結婚迷ってるって言ったから。…もちろん兼古くんは本気で言ったわけじゃないですよ」
「ちょっと待て。迷ってるって俺とは……」
やっぱり、ちゃんと言わなきゃ。
思ってることを、ちゃんと。
そう思ったら自然と歯をくいしばるような表情を作ってしまっていて。
それに気づいた柳原さんのほうが言葉を失ったようだ。