偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
――― 『お前は家族を作れて孤独じゃなくなる』
以前、柳原さんに言われた言葉が脳裏をよぎった。
そうだ。私はずっとそばにいてくれる家族が欲しかっただけなのに。
いつのまにかこんなにもどん欲になってた。
「無理ですよ。自分だけに気持ちがあって、相手には気持ちがないなんて…」
「…え?」
「そんなの不公平です。
私がそれをあとで言ったところで、元々偽装結婚なんだから気持ちなんていらないって言うんでしょ?」
私は知らない間に……
こんなにもこの人を好きになってしまっていたんだ。
柳原 響介という、一人の男性を。
――― 『安心しろ。放っとかないから。
お前が倒れてたら助けるし、困ってたら一緒に考える。これからずっとそうする。
地獄にでもどこにでも、一緒に行ってやるよ』
きっと、この言葉をくれたときだ。
このときから始まってたんだ。
自分の中で、柳原さんに対する恋心が芽生えてた ―――