偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
突然何を言い出すんだ? とばかりに、柳原さんがポカンと口を開けている。
確かに質問が唐突すぎるから、そんな反応にもなるだろうけど。
「そんなもん、医者に連れてくか救急車呼ぶに決まってる」
まぁ…人としてそれが当たり前の行動だ。
そのまま放置などしないだろう。
何を訊いてるんだ、私は。
「安心しろ。放っとかないから。
お前が倒れてたら助けるし、困ってたら一緒に考える。これからずっとそうする」
「…柳原さん……」
「地獄にでもどこにでも、一緒に行ってやるよ」
どうしてだろう。
じわっと涙腺が緩み、泣きそうになってしまった。
だって。これまでの私の人生で、ここまで言ってくれた人はいただろうか。
単なる戸籍上の偽装結婚…
だけど、困ったときには一人で頑張らなくていい、頼っていいんだと、この人は言ってくれている気がする。
その気持ちが心に響いて、うるっときてしまった。