偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
「母親、ちょっと天然だから」
「え?」
「ちょっとのあいだ辛抱しろ」
待って待って待って。
“天然”って…その説明じゃわからない。
何をどう辛抱したらいいんですかね?
というか、何故それを今の今まで言ってくれなかったんですかね?
また思わず眉間に皺ができそうになったけれど。
スマイル、スマイル。
ほら、仕事でだってやりにくい人はいるじゃない?
お得意先様で偉そうな態度の人とか。
そういう人たちよりはよっぽどマシだし、私の態度としては同じくニコニコとしていればいいんだ。
頑張れ、私。
和室の客間に通され、座布団の上にいきなり座ってもいいものかと躊躇していると、いいから座れよと柳原さんに諭された。
お部屋には床の間があり、立派な掛け軸がかかっている。
畳だって新しいのか良い香り。
はぁ……どうしよ。
私、正座が苦手だ。
足がしびれて立てなくなってしまうと恐れが…。
しばらくするとお母様と喜一さんが日本茶と和菓子を持って部屋に入って来た。