偽装結婚いたします！～旦那様はイジワル御曹司～

行こうか、と兼古くんが色気たっぷりに恋人のフリをしつつ茂人に背を向ける。

だけど私は足を止めて小さく振り返った。


「さっき、私とやり直したいって言ってたけど…。
バカにしないでよ。私だって感情のある人間なんだから」

「……美衣子」

「私、あなたと結婚を夢見たこともあったけど、しなくてよかった！」


あぁ……すっきりした。

きっとこの3年間、モヤモヤしたまんまだったんだ。
おそらく二股されていたんだろうけど真偽がはっきりとはわからずで。
自分に都合がいいように考えたり、悪いように考えたり。


だけどその真偽もわかり、最後に茂人につきつけた言葉で、本当に綺麗さっぱりモヤが消えた。

あんな男とあのまま付き合って結婚なんかしなくてよかったんだ。

神様が別れさせてくれた。
悪い男を私から引き離してくれた。

そう思ったら本当に心からすっきりで。

3年前に出来た傷がやっと癒えた気がした。