偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

なるほど。
どうりでさっきはいつもと違うなぁって思ったんだよ。

オッサン誰? なんて言って茂人をにらみつけていたし。
そんなのは兼古くんには似合わないのに。


「でも。知らなかったみたいですね。柴本さんが結婚すること。
俺が結婚のこと言ったら驚いてましたもん」

「………」

「なんで言わなかったんです? ああいうときは言わなきゃ」


しつこくされてたのなら尚更、婚約者の存在を言うべきだろうと、暗にそう言われた気がした。

きちんと最初に伝えていれば、相手もすぐに引き下がったかもしれないのに、と。


「言えなかったんですか? それは元カレだから?」

「違う!」

「ですよね。柴本さんが未練あるようには見えなかったです」


兼古くんは決して強い口調じゃなくて。
いつも通り穏やかで淡々とした物言いなのに。

何故か根掘り葉掘りとつつかれたくないところまでつつかれたような気になってきた。
それに、人のちょっとした表情の変化などもよく見てる。

サラリーマンじゃなくて刑事のほうが向いてるんじゃないだろうか。


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