偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~
思い出し笑いなのか何なのか。
クスクスっと笑う兼古くんだけど。
私はどう返事したらいいかわからず、やはり苦笑いを顔に貼り付けておいた。
女の子とは恋人同士になったことがない…。
逆に言うと、男の子ならある、ということだよね。
柳原さんとかさ。
……ダメ。リアルに想像しちゃダメ。
「すいません。助けに入ったのが柳原さんじゃなくて俺で」
今度は私の顔を覗き込みつつ、兼古くんがからかうように言う。
「何それ」
「だってああいうときは、かっこよく颯爽と恋人が現れて助けに入るもんでしょ?」
「兼古くん、ドラマか何か見すぎじゃない?」
「そうですか?」
今度は私がクスクスと笑う番だ。
するとそれにつられたのか、兼古くんもまたクスクスと笑った。
「一応、柳原さんを意識して、さっきは男っぽく演じてみました」
「…え?」
「だからー、恋人がかっこよく助けに入ってるって設定で!
もし顔が知られてないなら、俺が柳原さんになりすましてもバレないかなーってね」