偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

「柳原さん、もうちょっと言い方とかないんですか?!」


スルーすればよかったのに。
兼古くんが気の毒すぎて、気が付いたら噛みつく勢いで私は柳原さんに食ってかかっていた。


「言い方? 何のだ?」

「断るにしても、もうちょっとソフトな言い方で、とか思いません?
兼古くんだっていくらなんでも、そんな風に言われたら傷つきます!!」

「……そうか」

「そうですよ!! ひどいです!!
今は違うかもだけど、前に付き合ってた人にそういう言い方は…。嫌いで別れたわけじゃないんですし!」


あんまりだ、兼古くんはいい子なのに。
そう思ったら止まらなくて。
自分のことじゃないのに憤慨してつらつらと文句を並べ立ててしまった。

ふーっと息を吐き出して柳原さんを見ると、ポカンと呆気にとられた顔をしている。


「……何ですか?」


と尋ねても、柳原さんの奇妙な顔つきは元に戻らない。


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