偽装結婚いたします!~旦那様はイジワル御曹司~

「で? 何がどうなってんだ? 状況から説明しろ」


しばらくすると柳原さんがカフェにやってきた。
私の隣の椅子にすっと腰をおろしてコーヒーを注文し、不機嫌そうに放った言葉が先のソレだ。

兼古くんが緩い笑みを浮かべたあと、つらつらと説明を始めてくれた。

ショッピングモールで私をたまたま見かけたこと。
茂人と揉めてるところを助けたこと。
柳原さんとの結婚話が“偽装結婚”だと聞いたこと。

柳原さんは眉間にシワを寄せながら、兼古くんの言葉をただただ聞いていた。


「俺に何か言うことあるでしょー?
俺が助けなかったら今頃柴本さんは……」

「兼古、お前には感謝してるよ」

「じゃあお礼に俺とデートしてくれます?」

「断る」


表情一つ変えずに柳原さんはその要求を断った。
悩むでも考えるでもなく、即答。

それ、ちょっと兼古くんが可愛そうじゃないかな?


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