咲くやこの花、誠の旗に
第一章

はじまり



父は私が生まれてすぐに病で死んだ。





母はそれから、女手一つで私を育てた。





下流ではあるが一応武士の出だった父が僅かばかり残したお金で母娘二人、細々と暮らしていた。




けれどお金が底をつくのは時間の問題だった。




お金がなくなると、母は必死に畑仕事をしながら暮らしを紡いだ。




だがそれも限界を迎え、ついに母も病で倒れた。





薬を買えるお金が残っているはずもなく、私は病で日々弱っていく母の姿をただ眺めていることしか出来なかった。


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