咲くやこの花、誠の旗に
そして昨晩、母は息を引き取った。
母は死に際までずっと、『ごめんね、ごめんね』と虫の鳴くような声で私に謝った。
その時生まれて初めて母の涙を見た。
母が死んでから数日間は、家に残っていた食材で一人生活していたが、それもすぐに限界を迎えた。
他に身寄りがない私は、何も持たずに家を出て町を彷徨った。
何か目的があるわけでもなく、ただ呆然と道を歩く。
朝から何も口にしていないので体力も持たず、通りかかった甘味処のすぐ隣に座り込む。
道行く人々は皆、私なんかに目もくれない。